ミャンマーレポート 2004年12月 |
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事務局長 鎌田昭男 はじめに |
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都築 |
11月29日 日本大使館 水野二等書記官 水野二等書記官に最近のミャンマーの政変に関し、現地の情報、日本政府の対応策等をお聞きした ・10月19日に、タイのタクシン首相がキンニュン首相解任の動きを一部メディアに語ったのが、 報道の始まりである ・国営放送:キンニュン首相は健康上の理由により職を退いたと報道 ・ニャンウィン外務大臣の国連、各国関係者へのブリーフィング 百数十名を逮捕し、身柄を拘束した。 容疑はムセ、ラショ等での国境における密貿易であり、300億チャットの報酬を不正に得てい たことである。 ミャンマーの外交政策、国内の少数民族政策は不変である。 ・10月24日 ソーウィン新首相が各大臣、民間経済人を集め、今回の政変を説明した。 国家機関法の廃止を発表 【注】国家機関法:日本の内閣府の性格を持ったMI(国家情報局)の権力基盤であった。 今回の政変はあくまでも政権内部の争いであり、ミャンマー政府の今までの基本政策には変化がないことを確認している。キンニュン前首相が、今まで政策を独断で決めて来たのではなく、タンシュエ議長、マウンエー副議長両氏の了解を得て進めて来たものである。従って、従来の国の政策には変化がない。日本で言われているような路線対立ではない。単純には強固派、穏健派とは決めつけられない。 キンニュン前首相率いる国家情報局が、国境貿易をはじめ政治・経済に関するあらゆることに対し多大な権限を持っていた。 政治犯やNLDの関係者を多数釈放した。これは、キンニュン前首相の独断で政治弾圧が行われていたと、罪を全部前首相らにかぶせて、民主化を政府が着実に進めていると内外にアピールすることが目的と思われる。スーチー邸の前には、警備員が見えなくなっている。 国民会議は、少数民族の持つ特権、域内特産品等の価格決定権等の経済的利権がミャンマー中央政府とで調整がつかず中断していたが、来年2月再開が決まった。 日本政府の方針は従来と変らない。 11月30日〜12月3日 観光地の視察、見物 バガン、ポパ山・サレ、マンダレー各地の観光資源視察と、土産物店・地場産業視察。 我々NPOは、事業内容として観光振興を挙げているので、観光地を定期的に巡ることは義務となっている。 12月3日 アジア母子福祉協会ヤンゴン事務所訪問 当NPOの最高顧問、山口洋一元ミャンマー大使が理事長となっているアジア母子福祉協会のミャンマー支部を訪問した。代表者は砂川明彦氏で、同氏から協会支部の様子等について話を伺った。以下は、その要旨。 ・ミャンマー側のミャンマー母子福祉協会の代表者は、キンニュン前首相の奥様から第一書記の奥 様に替わった ・2年間掛かって、ようやく日本政府から母子福祉協会に予算が下りてきた ・政変での大量解放者は、マウンエー副議長に繋がる人がほとんどでNLDの関係者は少ない アジア母子福祉協会のミャンマー支部のある砂川氏の事務所は、ヤンゴンの中心地からは北西の方向にありやや遠いが、FMI CITYという住宅街の中にある。CITYは広大な敷地で、豪邸が幾つも連なっている。ミャンマーの真の実力を見せ付けられた。日本人の普通のサラリーマンが住めるレベルの家ではない。ミャンマーでも大金持ちが出現して来ているのだ。日本人で現在お金に余裕のある人は、ミャンマーに投資する絶好のチャンスであることを実感した。 会食会 日時 12月3日(金) 19:00〜20:00 場所 エレファントハウス 出席者 U Hla Myint Myanmar Industries Association 事務局次長 U Tun Aung ミャンマー連邦商工会議所 常任理事 U Hla Myint Shwe United Pacific Co.,Ltd 代表取締役 日本側5名 「The First CLMTV_ECS Trade Fair2004 」 12月3日、4日 カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム5カ国による貿易見本市。ミャンマー連邦商工会議所の主催 ・コンベンション・ホールでの各国代表による投資等 の事業企画の発表 ・タイ、ベトナム、ラオス、カンボジア4ヶ国の各国 ブースでの商品の展示即売 ・ミャンマーの企業の展示即売と、商談 12月3日 午後 都築、鎌田の2名で視察 4日 前日3日の商工会議所招待の夕食会の席で、全員の出席を懇請され、出国の時間が迫る中出席した VIP席に座る。日本人は我々だけ。 Presentation & Discussion Agriculture and Industrial Cooperation 我々と昵懇であるU Wai Phyoがミャンマー側を代表して発表した。ウェ ピョー氏はミャンマー期待の若手経営者で、まだ20代である。 感想 ・タイ、ラオス、ベトナム、カンボジアの4カ国は、ミャンマーの購買力の低さを熟知しているた め、小さなブースで高価なものは展示してない。 ・どのブースも大勢の人で、どんどん物が売れている。会場に来る人たちは、どのような人かよく 分からないが、民間人の購買力は相当なもののようである。 ・ミャンマーの企業の工業製品も展示してあったが、性能、品質、デザイン、どれをとっても、日 本の30年〜40年前ぐらいの水準と思われる。工業力の弱いことが如実に表れている。 ・タイのCPの副社長がタイ側を代表して発表したが、この人だけがラフな格好で、話し方など尊 大な態度と見受けられた。 パソコン研修センター ・パソコンの研修センターは前回案内されて見た場所と異なり、U Htein Winが経営する別 の会社のビルの3階になった。研修生の利便を考え、交通の便の良いところにしたとのこ と。 ・パソコンは届いたばかりで、荷解きはしていなかった。 ・研修センターには机等はまだ揃っておらず、準備手配中との話である。準備ができたら連 絡するので講師を派遣して欲しいと要請される。予定では1月から研修を始める計画であ るとのこと。 街 の 印 象 ヤンゴン 来るたびに車が増え、渋滞が多くなっている。排気ガスも相当なものである。トラックバスの数が減り、日本製の、中古の神奈中バスなどの大型バスがますます増えて来ている。1930年代のイギリス製の車を改造した緑色の独特なバスは、街から姿を消しつつある。 きれいな新しい店が目立つようになり、店は品揃え、ディスプレーも良くなっている。しかし、一般の昔ながらの店も減る気配はなく、一部の人の金持ち化が進んでいるものと推測する。 シャンバッグを肩に掛けている人が減り、ズボンやスカートの人が目立つようになって来た。徐々に市民の間に変化が現れて来ている。大きな黒いパラボラアンテナで海外の衛星放送を見ている人も多いようなので、政治・経済の状況が変われば、一気に大きな変革が起こるものと思われる。 今回の、軍政権内部の抗争の影響は、庶民の生活には旅行者の目で見る限りほとんど変化が見られなかった。旅行者の目には分からないが、実情は、ミャンマーの有力者の間では、どちらにどのくらいのつながりの強さがあるかによって、生活や商売だけでなく、行動の自由、財産の保護等についても大きな影響が出ているとのことである。 空港では強制両替のコーナーはなくなっていたし、各所に見られたキンニュン前首相の写真が取り払われていた。 バガン ミャンマーの人々と我々日本人との間に、遺跡の保存ということに関し、根本的に意識の違いがある。タラバー門の修理について、改造というか無神経に直してあった。 パゴダも古いものなので、設計図とか絵など当時のものはないということであるが、崩れたパゴダの修復では、格好良いものに勝手に直されている。本当にそのような格好だったのか不明なので、文化財としては日本人の感覚では台無しの修復である。 ローヤル・ゴールデン・トータス・ラッカーウェアの店に期待していたのであるが、大きな失望をした。品揃えは欠品だらけであり、店に置いてある商品は埃にまみれ、汚れがついたままである。品物も他の店と同じようで、店づくりの理念が感じられない。近くの店が対照的に商売上手に店を運営しているので、そのことが余計に感じられる。価格から考えるとミャンマーの人が買うと思われないので、観光客に売るには、何をどうすればよいかを考えなければならないであろう。 各寺院やパゴダでの、カメラやビデオフィーは廃止されていた。 サレ パガン朝時代の遺跡や、木彫りの彫刻で有名なヨーッソンチャウン、巨大な寺院で何処までも続く柱廊があるシンピンサチョーフラ寺院等が在る。 バガンからはかなり遠い上に道も良くなく、日程に余裕のない1週間程度のミャンマーが初めての人の旅行には不向きである。ポパ山と同じ日に行くと丸1日を費やしてしまうので、むしろマンダレーの街を散策して、ミャンマーの人々に接したり土産を買ったりする時間をとったほうが良いのではないかと思う。 確かに寺院や自然などの観光資源は申し分ないので、寺院やパゴダに興味のある諸氏にとっては、素晴らしい所である。日程に余裕のある人には自信を持って薦められる。 マンダレー 今回泊まったマンダレースワンホテルは、王城前に在り立地も良く、従業員の態度も良かった。料理や果物は素材が良いせいか美味かった。静かで好いのであるが、一面ではサービスの気配りが足りないことと、お湯の出が少ないことに関しては失格である。 今回の旅では、市内の名所観光については問題がなかったが、街そのものを経験する時間がなく残念なことであった。空港が遠くなった分だけ、時間に余裕がなくなった所為でもある。 今回の視察旅行での感想 今回の訪ミャンマーで考えられることは、ミャンマーに初めてで観光を目的とするグループと、他のグループとでは、できるだけ別の予定を組んだほうが良いと考えられることである。観光は観光で、それに徹した方がミャンマーを十分楽しんでもらえる。 旅の良さは、料理の美味さと、買い物の楽しさと、見聞きしたことの満足感が重要である。今回は皆に十分楽しんでもらえたと思うが、我々が予定していた来年5月の写真展での展示商品の仕入れ、絹の手ぬぐい等の商品開発、絹製品の仕立てなどは全くできなかった。反省すると共に、今後観光客を連れて行くときの検討事項としなければならないであろう。 |
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