I T 研修

IT講習 イン・ミャンマー
2005年3月21日〜25
                                                                                         中小企業診断士 犬伏 雄一

   ミャンマーという国を初めて訪問した。それもIT講習の講師として。IT講習の件は、ミャンマーの商工会議所からNPO ザ・コンサルタンツ ミャンマーに要請があり実施することになったのである。
U Zaw Min Winを代表とするミャンマー商工会議所一行が、来日した折にNPO ザ・コンサルタンツ ミャンマーがパソコンを20台寄贈したことから具体化した。
   通訳者もいない中、私ほか関係者と見よう見まねのへたな英語を駆使して大まかな計画案をまとめた。基本計画案は以下のとおりであった。


IT講習の基本計画案

1.3月下旬に1週間(5日間)かけてIT講習を実施する。
2.IT講習は午前の部と午後の部の2部構成とする。
3.午前の部は初心者コースとして「表計算」の基本を学習する。
4.午後の部は上級者コースとして「データベースとシミュレーション」をテーマとする。
5.講習参加者は午前、午後ともそれぞれ20人程度とする。

 この基本計画を元に具体的なスケジュールやテキストを作成することにした。情報交換はメールを利用することでメールidを交換した。
 もっともデリケートな問題は費用負担のことである。ミャンマーは経済的には発展途上国であり、日本のレベルで報酬を求めるのはもとから無理であることはわかっていた。しかし100%ボランタリーで実施するのもこちらの負担が大きい。そこでこのような提案をした。「当方では飛行機代金を持つから、宿泊代金を負担して欲しい」。この条件をミャンマー商工会議所は快く受け入れてくれた。このようなことで急遽、ミャンマーでのIT講習が決定した。

 IT講習はすべて英語で行う。日頃、英語を使っていない私にとってはたいへんなことであった。 しばらくは和英辞書にお世話になることになった。
 ミャンマーに到着したのは3月19日(土)のことである。翌日IT講習を行う会場の事前確認を行った。
  会場は宿泊ホテルから目と鼻の先にあり、賑わった場所である。狭い部屋であったが、約15台のパソコンが設置してあった。これらのパソコンはすべてNPO ザ・コンサルタンツ ミャンマーから寄贈されたものである。 古い機種(大学で使っていたもの)であるが、ミャンマーでは内部を改造し、OSをWindowsXPとするなど使用環境は最新版となっていた。
IT講習受講中の受講生
   3月21日(月)の朝9時から、いよいよIT講習が始まった。最初にセレモニーが開催された。ミャンマー商工会議所や会員企業の社長など関連する
かたがたが集まり、事務局長の司会により、式典が進行していった。また
  講師や受講者の自己紹介も行われた。受講者は圧倒的に若い女性が多かった。セレモニーが終わりいよいよ講習がスタートした。講習では女性のインストラクターが派遣され、基本操作や初心者に対するガイドを手伝ってくれて、たいへんありがたかった。
   受講者は商工会議所の会員企業の会社員である。化学関係企業の社長の息子も参加していたが学生であった。参加者はほとんどが女性であることにびっくりした。コンピュータを利用するような仕事は女性が担当しているようである。大手の企業では会計・給与などの専門の業務ソフトを導入しているようである
午前の部が終了し、午後の部に入った。午後の部は上級コースということで、参加者はマネージャークラスの人がほとんど。ここでもほとんどが女性であった。初心者コースでは一部、英語力がまだまだの人がいたが上級者コースでは英語力もあり、パソコンの基本操作についてはまったく問題は無かった。
 月曜日から金曜日までの5日間にわたって午前コースは9:00〜12:00までの3時間、午後のコースは13:00〜16:00までの3時間と続いたが、その間に感じたことをいくつかあげてみる。
終了証をもらった受講生
受講生

  1.受講者は英語が堪能でメールアドレスを持ち、コンピュータの操作をできるいわばマネージャークラス
       またはその候補生である。
  2.ミャンマーではコンピュータは高嶺の花であり、個人レベルでの利用は進んでいない。
  3.インターネットはやはり大企業中心に利用されている。幹部の社員はメールIDを持っている。
  4.情報化レベルでいうと一部業務ソフトが導入されている段階であり、戦略的情報システムの導入とか利
       用はまだまだのようである。
  5.トップは情報化についての意識はもっているが、自分で積極的に操作・利用しようという意識はない。
  6.グループディスカッションを実施したが、グループごとに非常に活発な討議が行われた。
  7.参加者は全員まじめで率直、素直であり、昔の日本人もこのようであったと感動した。

   5日間もあっという間に経過し、後日、終了証授与式典を実施することになった。皆さんミャンマーの正装で参加してくれた。式の後の、ティーパーティでは、歓談したり、写真を撮ったり、楽しい想い出となった。午前と午後の受講生からそれぞれミャンマー名物のお土産をいただいた。
  今回のIT講習で初めてミャンマーを訪れたが、ミャンマーの人々と暖かい触れ合いを持つことができ、ぜひまた来なければと思った。
受講生との記念写真


   今回のIT研修は、NPO ザ・コンサルタンツ ミャンマーがミャンマー商工会議所から商工会議所の研修センターで使用するパソコンの寄贈を要請され、その寄贈したパソコンを使用して初めて行った研修会である。
  講師に犬伏雄一、土井   司、都築   治、鎌田昭男の4名が参加して行った。  ミャンマーは暑期といって一年中で一番暑い季節であり、ミャンマーの学校の夏休みの季節である。この暑い季節に、あまりエアコンの利かない教室で5日間、体調を崩しながら頑張った犬伏、土井両講師ご苦労様でした。
   また、U ZAW MIN WINDR. KYAW HTIN、U PAW HEIN、   U HLA MTINT、U AUNG TAZA MYINTをはじめミャンマー商工会議所の諸氏には大変お世話になりありがとうございました。
   ミャンマーを訪れるたびに感ずることですが、今回も改めて、ミャンマーの人々の親切と学ぶことに関する熱心さ、明るい態度に感動しました。    (鎌田)